社内ツールをOSSで公開したら企業が殺到し、月商1,300万円のSDKビジネスになった
ドイツのデジタルエージェンシーが自社のために作った写真編集ライブラリを GitHub に公開したら、Fortune 100 企業から問い合わせが来た。img.ly が語る「オープンソースから商用ライセンスへ」の道筋。

取材時の様子 — Photograph by Editorial Team
BUSINESS AT A GLANCE
ドイツのデジタルエージェンシー 9elements のエンジニアチームは、複数のプロジェクトで同じ問題にぶつかっていた。クライアントから「アプリに写真編集機能を入れてほしい」という要望が来るたびに、毎回ゼロから作っていた。ならば一度ちゃんと作ってしまおう、と生まれたのが PhotoEditor SDK だ。
最初のバージョンを GitHub に公開すると、予想外の反応があった。企業から「商用ライセンスを売ってほしい」という問い合わせが届き始めたのだ。そこで共同創業者の Daniel Hauschildt と Eray Basar は、これをプロダクトビジネスとして独立させることを決めた。
MRRの成長軌跡──4年かけて積み上げた
| 時期 | MRR |
|---|---|
| 2016年3月 | $16,861 |
| 2016年9月 | $21,305 |
| 2017年3月 | $35,360 |
| 2017年9月 | $52,692 |
| 2018年3月 | $67,434 |
| 2018年9月 | $93,679 |
| 2019年3月 | $133,000 |
GitHub が最初の営業チャネルだった
最初の顧客の多くは GitHub 経由か、Google 検索で直接問い合わせてきた企業だ。「サイレントローンチ」から始まり、ある程度の問い合わせが来るようになったところで、GitHub の README を整理し、ウェブサイトをリニューアル、SEO に本格投資した。Product Hunt への登録で500以上のアップボートを獲得し、3〜5位にランクインした。
「外部ライブラリをゼロにする」という哲学
PhotoEditor SDK の最大の競合優位は、外部ライブラリへの依存がまったくないことだ。独自のレンダリングスタックとアルゴリズムをすべて内製している。Fortune 100 のような大企業はセキュリティ審査が厳しく、外部依存が多いSDKは採用されにくい。この哲学が、大手企業からの信頼を勝ち取った。
「小さくても精鋭なチームの方が、規模のためだけに採用するより強い」── Daniel Hauschildt
後悔──機能を追加しすぎた
Hauschildt が最も後悔していることのひとつが、機能の肥大化だ。「顧客の要望に応えるうちに、コア以外の機能をどんどん追加してしまった。本来は別プロダクトとして切り出すべきだった」と語る。
この記事のポイント
- 01社内ツールの OSS 公開が起点。GitHub 上のトラクションが商用ライセンス販売への転換を促した。
- 02外部ライブラリゼロの独自実装が Fortune 100 の厳しいセキュリティ審査を突破し、大企業顧客を獲得する競合優位になった。
- 03機能追加の誘惑に負けてコアが肥大化したことを後悔。「少ない機能を磨き込む」原則を早期に貫くべきだったと語る。
参考:Indie Hackers
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